「ん」

食べた瞬間伝わる、かき氷の冷たさ。
ほのかに香る先輩の匂い。
あたしの大好きな匂いだ。
愛しい匂いだ。

こんなに近いのに、どうしてそんなに遠いの?
海には近づいてるのに、先輩とは近づいていないみたい。
距離が比例してる。

「花音ちゃん可愛い~」
「お世辞とかいいですからっ」
「お世辞なんかじゃないよ!」

先輩はきっと冗談。
でも先輩のことを本気で好きだから期待してしまう。

先輩はあたしのこと恋愛対象として見てない。きっと。
先輩は緊張しないもん。
さっきから、あたしはこんなにドキドキしてるのに。

「じゃあそろそろ進もうか!」
「はい!」

そうして、また進み始めた