キィィン

壇上のマイクにスイッチを入れた音がノイズとなって伝わる。


最初にマイクの前に立ったのは、陽気な佐々木先生だった。


「皆さん、おはようございまーすっ!」

朝、私たちにしてくれたような明るい挨拶をすると下の生徒たちもキャーキャー言いながらも挨拶をした。

「お、皆元気いいね〜
さっき校長から紹介されました、佐々木桃哉です!
担当は主に二年生の国語科です!
よろしくお願いします」


スポーツのCMみたいに爽やかな笑顔を浮かべる。

勿論、女子生徒は未だに騒いでいる。

「佐々木先生は、2年3組の副担任となります。佐々木先生、よろしくお願いします」


穏和な声で告げると、佐々木先生もはい!と笑顔で受け答えた。


2年3組…

「ウチのクラスじゃん」

「そうだよね?」

あれ?と疑問に思ったが間違いではなかった。
桃ちゃんのクラスで合っていた。


「まあ、ウチのクラスの担任、少し頼りないからね。ちょうどいいかな」


そう言ったと同時に桃ちゃんは少し前にいる3組の担任を見た。


優しいし穏和なおじいちゃん先生なのだが、どうも頼りないようだ。

ちなみにおじいちゃん先生は数学の先生である



「では、宮瀬先生。お願いします。」


ニコニコと告げると佐々木先生と交代してマイクに立つ。


勿論、この時も女子生徒はキャーキャー騒いでいる。


「………」


マイクの前に立つや否や、何も話さない宮瀬先生。

少しずつシンッ…となり始めたと同時に先生はマイクを持った。


「宮瀬桜雅、社会科だ。
一つ言っとく。
俺はそこの奴と違ってガキ…特に女子生徒は嫌いだ。
よく覚えとけ」


ガチャとマイクを元通りに戻して後ろに下がると体育館は何ともいえない雰囲気が漂っていた。


「…先生としては、あるまじき言動ね〜…」


桃ちゃんはニタニタと笑いながら他人事のように言ってのける。


さすがの校長も先生の発言に驚いたのか少し茫然としていたがハッとしてマイクを口元に持っていった。


「え、えぇ…
宮瀬先生は2年1組の副担任です」



…………

「えっ!?」


今、この体育館に珍しく私の声が響いた。



今、あの校長はとてつもなく重要な事を口にしたと思う。


あの先生が…
2年1組の副担任…?


「み、美桜?」

「ど、どーしよ…
桃ちゃ〜ん」


苦手の象徴とされる先生がまさか二人も私のクラスだなんて…


私、生きていけるのか心配です…