鬱陶しいくらいに青々とした空には白い雲。


新しい高校へは遅れて行くことになった訳だが…

何だって俺が“お迎え”なんてされなきゃならない。
生徒に任せるなんざどう言った了見だ。


「ほらほら、桜雅。
眉間に皺寄ってるよ〜
今からくる子たちに怖がられちゃうよ〜」

隣にいるこのバカは陽気にニコニコしながら言う。

「ほら〜。
まーた眉間に寄ってる〜」

「肌寒いってのに何で昇降口でお迎え来んの待たなきゃいけねぇんだよ」

「風が冷たいだけで、日差しはポカポカだよ〜
それにこのお迎えに来る子と仲良くなれるじゃん!」

「…桃哉」

睨み付けると、ごめんごめんと謝る。

「も〜。そんな睨まないでよ。」

「テメェがバカな事言うからだろ
何で女子生徒なんだよ」

「相変わらず苦手だよね〜。」

ノホホーンとしながら言われるがそんなもんじゃねぇ。

自意識過剰ではなく前居た学校でも女子生からの人気率は高かった。キャーキャーうるせぇし、前の学校で一人の時間なんか過ごした事もねぇ。

昔から女子生徒は苦手だが、改めて苦手度が増した。

「でもそこら辺は配慮してくれてるよでしょ。
校長も」

「配慮してねぇだろ。
実際苦手だっつってるのにわざわざ女子生徒送るらすなんてあり得ねぇよ」

愚痴を溢すと桃哉や苦笑しながらまあまあと宥めた。

「そんな決まった事に文句付けてもしょうがないでしょ〜」

「文句じゃない。
意見だ」


ツンとそっぽを向けば隣からはやれやれ、と呆れた声がする。


…この男ぶん殴ってもいいよな

と手をグーにした所で昇降口の扉がガラッと開いた。


「わーお」

燦々の太陽に照らされてピカッとなった頭に桃哉はニヤニヤしながら声を上げた。

やっぱりハゲだな。
ピカピカだ。


「もうそろそろ、お迎え来ますのでどうぞこちらに…」

優しい声色で招待する校長。
…まだ生徒来てなかったのかよ。


「ほら、桜雅。
笑顔笑顔」

自分の口角を上に伸ばしながら言う
正真正銘のバカだな。


「お、来ましたね。」

俺らより一歩前でその生徒を待っていた校長が声を出した。