四月に入って二週間弱。
小春日和とはよく言うが、未だに吹く風は肌寒い。
少しばかり咲いた桜も舞い、私の身に纏ったセーラー服も風に従って流れている…
高校の始業式から七日が経った。
ちょうど二日前にクラスの学級委員に抜擢されて昨日から誰もいない路地を朝早くに歩いている。
「美桜〜」
風の流れに逆らって歩く私の後ろから清々しい、明るい声がした。
後ろを振り向くと元気よく走っている。
「おはよう、桃ちゃん」
「おはよ!美桜」
挨拶をしたら、白い歯を見せながら満面の笑みで挨拶をしてくれた。
彼女・新田桃果(ニッタモモカ)、通称桃ちゃんも私とクラスは違うものの同じく学級委員である。
「今日もいい天気だね〜」
「そうだね、」
グーッと上に背伸びをしながら私の歩調に合わせてくれる。
桃ちゃんは親友であり、私の一番好きな人だ。
「そういえば、今日だよ」
「え?」
唐突に主語の無い会話に疑問視すると、桃ちゃんはも〜と頬を膨らませた。
「始業式でハゲの校長が言ってたじゃん!
新任教師二人遅れるって」
「…そうだっけ?」
言ったような、いってなかったような…
んー…
「ハァ…
どーせ桜でも見てたんでしょ」
溜め息を付き、呆れながら言う桃ちゃんにうぐっと言葉を詰まらせる。
確かに私の座っていた所はちょうど綺麗な桜が咲いていた所だった。
芽が出て、蕾になってる子もいれば、気が早いのかもう美しく咲いてる子もいた。
まさに小春日和。
見ていてホンワカした気持ちにはなっていた。
「まあ、美桜だし、しょーがない」
眉を八の字にしながら笑う桃ちゃんに、ごめん。と謝った。
「ホントに可愛いなー。美桜は」
謝らなくてもいいよ〜と優しく私の頭を撫でる。この行為が気持ちよくて目を細める。