「へ…」
本当に真っ赤なルージュでも、重いタバコでも、ピンヒールでもないの!?
《ぷっ、なにそれ》
星司お兄ちゃんは笑っちゃってるし。
《やっぱりわたしの勘違い?》
《勘違いもなにも、僕、勘違いさせるようなことした記憶ないんだけど》
《ぬー…》
《好きでもない子にキスなんてしないし》
《ひゃっ》
《で、織賀ちゃんの返事は?》
《わかってるくせに…。意地悪ですね》
《だって、聞きたいじゃん》
じゃんって、かわいいなおい。
かわいさに免じて言ってみてもいいと思ってしまうわたしは、星司お兄ちゃんに甘いのかな。
そんなことを考えていると、キャンディが口の中で消えた。
「好き。ずっと好きだったよ。離れてたときも、好きだった」

