「なんか、すごいですね。そのキャンディ」
「ん。だからナンパ現場目撃したときは“運命の再会だ”って思ったよ」
へ、運命の再会って、わたしとってことだよね?
運命の再会をした相手が、ずっと星司お兄ちゃんが好きだった人で。
真っ赤なルージュをつけた人じゃなくて、重いタバコを吸う人でもないってこと!?
つ、つまり、両想い!?
えっ、じゃあ、わたしが勝手に失恋してたってことか!
あんなに胸をいたくした意味ないじゃん!
りりりりりりりりりり、両想い!?
どーしよ!
「織賀ちゃん…」
「………!」
星司お兄ちゃんに名前を呼ばれ顔をあげると、彼のきれいな顔がわたしの方に近づいてきた。
時間の流れが変わったと錯覚しそうな程に、ゆっくりゆっくり顔がこっちに迫ってきた。

