星司お兄ちゃんが言うには、12年前、大学で教授をしていた彼のお父さんは当時テレパシーの研究をしていたらしい。
超能力とかではなく、何か物質を通してでも簡単に意思の疎通ができないかと考えていた。
8歳の星司お兄ちゃんはお父さんの研究室に忍び込んで、研究途中の特殊な液体を入手。
体に摂取すればテレパシーができるようになるかもしれないその液体。
そして星司お兄ちゃんはキャンディに混ぜてわたしに渡した。
キャンディを食べたわたしの体内にはその液体が入り込み、消化されず今もそのまま残っている──。
ちょっと信じられない話だけど、本当にあったことみたい。
「父さんの研究は危険だと判断されて打ちきりなったんだ。だから僕がそれを引き継いでこっそり大学で色々してた。織賀ちゃんの気持ちが知りたくて、ね」

