靴箱のところで、香織ちゃんと会ったので、玄関で一緒に待っていた。

「今日はね、先生が研修に行ったからパート練だったの!すごく楽しかった♪」
パート練とは、吹奏楽のパートごとの練習のこと。
「パート練だったんだ。よかったね。私は今日もまあきつかったよ。15分間走りっぱなし。30分に比べたらまだ楽だけど…」
「うわー!よくやるよ!」
「慣れだよ」
たわいのない話をしていると、

「おう!待たせたな!」
「あ、来た。」


「俺らはこっちだから。」
私以外は方向が違った。

「またね!ゆず!」
「うん!」
翔也の家もそっちなんだ。と思った。寂しいような、複雑な気持ちだった。