リレーが終わり、閉会式も終わり、翔也は保健室に向かった。
保健室の先生は笑顔で

「大丈夫よ。奥で寝てる。」

と言った。

それを聞いて肩を撫で下ろした。

「血の量も少なかったし、病院ほどじゃなかったら。まあ、後で行ってもらうけどね。」

「はい。ありがとうございます。」

「じゃあ、ちょっと留守番頼むわね。」

そういうと、保健室を後にした。


翔也は近くにあった椅子をベッドの近くに持ってき、座った。
そして、柚香の左手を両手で優しく包み込んだ。


小学生の時を少し思い出した。



回想ーーー


俺は熱を出した。

柚香は俺の家まで来てくれた。

「翔也、大丈夫?」

「うん。まだしんどいけど、昨日よりはましだよ。」

「じゃあね……」

そう言うと、柚香は翔也の手を両手で握った。

「私がこうしてる。だからね、まだゆっくり寝てていいよ!」

「……うん。」

「えへへ。翔也が眠って、起きたとき一番最初に見るのは私なんだね。」

柚香はそう言うと満面の笑みを浮かべた。




「今度は柚香が目覚めた時は俺が隣にいるよ。」

翔也はそう言うと、少し強く柚香の手を握った。