あともう少しで完成だ。と翔也は思っていた。

ホイッスルが28回目。あとに2回だ。

横をちらっと見ると、先生たちが慌ただしかった。
(なにがあったんだろう。)



無事終わり、やったな!という声が飛び交っていた。

「おい、聞いたか?」
的場が焦った顔で言ってきた。

「どうしたんだ?」

「桜木が倉庫で血を流して倒れてたんだってさ!」

翔也は全身から血が引くのを感じた。

「命に別状はないけど、俺らがピラミッドをつくってたときだってよ!」



「リレーの選手の方は召集場にきてください。」

アナウンスが入った。

「剛、俺、行くな。」

翔也は召集場に向かった。

すると男子が
「あいつ、桜木があんなことになってんのに、リレー優先かよ。冷静すぎるよな。」

「バカかよ。」

的場が真っ直ぐな目で言った。

「あいつは今、尋常じゃねーよ。お前がそう見えるならおまえの目は節穴だな。俺が言うんだからあってるぜ。」

(あいつをよく見てきたからな。)


的場の言ってることは正しかった。