「だから、私、矢能くんのことが好きなの!」
あ、そうか……。翔也って人から見てもいい人なんだった…。
「あなたはどうなの?好きなの?それともただの幼なじみ?」
「…………。」
その質問に対して私は沈黙した。
いままで考えたことがなかった。
確かに、翔也は会いたい人だったし、大切な人であることは変わりはない。
だけど……。
「翔也!」
「剛…」
「どーしたんだよ。そんな顔してよ。」
「いや、柚香の前だと上手くいかないなと思ってさ。剛は田辺さんと何でも言えてるよね。」
「か、香織はただのうるさい女だ!〃」
的場は矢能の顔をのぞき込みながら言った。
「おまえ、なんかあったのか?ケンカしたとか…」
「違うよ。柚香は昔から俺のことをずっと心配してくれて、素直に気持ちも言ってくれて…。なのに、俺は柚香に何もしてやれてないから。」
「翔也、男はここだぜ?」
的場は右の親指を立て、左胸の場所を親指でトントンと叩いた。
「おまえが隣にいてやれるだけでも、あいつは嬉しいんじゃねーか?」
的場は、柚香と翔也は互いに惹かれ合っていると思っていた。
絶対落とせない女と感じ、それと同時に香織のことを気になり始めたのは最近のことであった。