翔也は柚香のことが気になって仕方がなかった。
(どこ行ったんだろう…。聞きたいことあるのに……)
目的はこれだけではなかった。ただ会いたいという気持ちもあった。
「矢能くん!」
部活でよく聞く、おなじみの声だった。
「左藤さん…」
「あのね!今日のメニューのことなんだけど……」
「あ、うん。いつも通りで、トレ(筋肉トレーニング)を入れた方がいいんじゃない?」
「そうするよ!今日も助言ありがとうね!!」
「うん。」
なぜか俺にいつも助言を求めてくる。剛の方が頼りになるはずなのに…。
「何してたの?」
「柚香を探してて…。知ってる?」
「ううん。知らないな……」
そっか。と言って、翔也は目的を再開した。
姿が見えなくなってから、
「ぜーったい、振り向かせてみせるんだから!」
左藤なずなは、ぷぅっと頬を膨らませた。