タイムマシーン


グラウンドの隅で
リレーメンバーが集まった


あたしは
どうしたらこの状況から逃げ出せるのか
それしか考えていなかった



「椎名、俺と代われ」

「は?」

「俺がアンカーやる」



―え

そんなの、そんなのない


「理由は聞くな。
ちゃんと一番とって野上に告白させてやるから」

「ん~~別にいいけど?
ってなんで、甲斐ちゃんてば告白のこと知ってるんだよ!!」





「篠崎、来い。椎名たちは先に行ってて」



椎名くんとセッターの子が行ってしまった



「…篠崎」

「………無理だよ」


「…泣かないで」

「…出来ないよ…」


「出来るよ」

「……椎名くんでダメなんだから
甲斐くんで出来るわけないよ…」



「大丈夫」

「………大丈夫じゃないよ…
もう、嫌だよ…」



「いつまでも、そうやって自分を縛るな」

…………縛る?



「バトンゾーンで遅くなってもいいから」

「で、も」


「どんなに遅くてもいいから、バトンを渡すことだけ考えろ。余計なことは考えるな」


………無理だよ…


「いい加減に過去を吹っ切れ」

…甲斐くん



「…お前が吹っ切れないと
俺も吹っ切れないんだ」


…甲斐くん、甲斐くん


あなたはどうして…
どうしていつも


あたしを責めないの?

どうして優しいの?


どうして…


全部知ってるの?