【短】人妻と、飛び魚と、真夏の果実



「ごめんなさい、へんなこと言っちゃって」


イヤ。あなたの笑顔が見れるなら、俺は何を言われたっていい。


マリエと会える週末が、待ち遠しくて待ち遠しくて。


不思議と、家族への不満も消えていって、母親にも優しくなれた。



やがてマリエは、テーブル席ではなくて、カウンター席に座るようになった。

1番右側の、指定席。


俺は自腹を切って、紅い薔薇を買い、一輪挿しに飾った。


「いい匂い。薔薇、大好き」


マリエは、時々、大きなヘアクリップで、髪をアップにした。

白くて、色っぽいうなじがむき出しになっている。


嬉しいけど、複雑だった。


その部分をマスターや他の客には見せたくなかった。

マスターは硬派なおっさんだが、興味ないふりして、マリエを時々、エロい目で見てる。



密かに人妻にハマる俺。


誰にも打ち明けることのない秘密を俺は温め続けた。






3ヶ月後。
そんな日々は、急展開する。