「あの…ここは?」
「桜鬼族のたまり場であたしの部屋。」
「あ、ベット取っちゃってごめんね!」
ついヘラッとしてしまう俺。
俺を見て少し眉間を寄せる夜女さん。
あちゃ…
またヘラッと誤魔化すように笑う。
「なんで、あんな夜中にあそこにいたの?
どうして、危ないって思ったでしょ?なんで逃げなかったの?あたしなんてほっとけばいい!他の奴の力なんてなくても勝てる!」
悔しそうに言う。
でも
「逆に危ないって思ったから…かな!
だから、助けようと思って…
足でまといだったよね、ごめん…」
俺が俯くとポタポタと雫が腕に落ちてきた。
え…
「馬場くんって……ばかだねっ…
あたしが総長って知ってて
それに強いって知ってて
それでも助けようって…グズッ」
今度は優しい目で俺を見てくる。
この子はどんだけ表情があるんだろう。
俺のために怒る顔
覚めたような目をする顔
優しい目をする顔。
なんだろう
