目の前で首をかしげる水沢くんは、私の知っている水沢くんじゃなくて。
私は思わず後ずさりした。
え、ちょ、どういうこと……?
私の知っている水沢くんだったら、まずひと言めはさっきも言ったとおり、「いい度胸だね」ってブラックな笑みをひとつ。
そして、二言めには「お仕置き」と言ってニヤリと笑う。
なのに。
目の前にいる水沢くんは……。
眉を八の字に下げて、拗ねたような顔をしているではないですか。
だ、だれ……?
「あ、の……。本当に、水沢くんですか?」
「え? うん、そうだよ?」
「あはは、ですよね……」
「ふふっ、野上さん、おもしろい~」


