振り向くと、碧依さんはすぐ近くにいて、また抱きしめながら耳元で


“愛してる”


って囁いた。


私の顔、きっと今真っ赤だと思う。


でも、嬉しいの…。


愛してるなんて初めて言われたから…。


今度は本当に涙を堪えることができなくて、碧依さんの腕の中で泣いた。


そのボヤける視界で見えたのは、碧依さんの金魚みたいな赤い顔。


私が碧依さんを好きになった日と同じ、真っ赤な顔だった。


私もいつか愛してるって碧依さんに言いたいな…。


今日みたいな日に。


碧依さんは約束を守ってくれて、なんにもしてこなかった。


ただ二人で手を繋いで朝まで寝た。


目が覚めて、窓の外を見ると昨日の雪がうっすらと残ってて、白い絨毯が広がってる。


碧依さんを起こして朝の散歩をした。


朝の空気は冷たいけど、繋いだ手は温かくて、初めて手を繋いだときのことを思い出す。


昨日の愛してるを何度も心の中で繰り返して、二人で見た星と雪にそっと願った。


“ずっと一緒にいられますように”って。


またあの空を隣で見ることができたら、私も碧依さんに言うね?