社宅アフェクション

応援をする際の注意点や飲食についての連絡があり、お昼をとった。


「お~い!!お前ら~っ!!」


遠くから酒田くんの声が聞こえ、その姿が近づいてきた。


「よー、しゅた!練習終わったの?」
「俺はな。それより、本荘から伝言」


酒田くんは、自分の携帯の画面を私たちに向けた。


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 俺はいつだって全力だ
 連れてってやるよ、甲子園
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勝彦らしいと思った。強気で勝ち気なやつ。主語はいつも自分で…私たちのことを気にしてくれている。これは最近気づいたこと。


「こりゃあ、こっちも全力で応援しないとな」
「京ちゃんの声ならスタンド中に響くね」
「そうか?よし、いっちょやるか!」
「あ、前向きにとっちゃうんだ」


2人のやりとりに含み笑いをする私と佳乃を、京子は不思議そうに見ていた。



そうこうしているうちに、グラウンドの整備も終わり、一気に決勝戦ムードが高まった。
勝彦の…私たちの戦いが始まるんだ。