社宅アフェクション

勝彦を見ていた私の耳に、佳乃の声が響いた。


「あれ、勝彦くんのお父さんじゃない?」
「ほんとだ。本荘の親父さんだ。かの子、なんで知ってんだ?」
「え、に、似てるなぁって思って!それに、ずっと勝彦くんのこと見てるし!」
「ん~、似てるかぁ?…ま、いいや。あいさつしてこようぜ、あや子!」


私は京子に手を引かれ、勝彦のお父さんの前にいった。


「本荘の親父さん!久しぶりです!覚えてます?宮崎京子!」
「お、あぁ、下の階に住んでた京子ちゃんだね?元気そうだね。あ、真綾ちゃんもいるじゃないか!」
「全校応援なんです。おじさんも?」
「あぁ。息子の勇士を拝みにね。…あれ?」


悩むような顔をしたおじさんの視線の先には、いつの間にか後ろに立っていた佳乃。


「君、もしかして…佳乃ちゃん?一関佳乃ちゃんじゃないかな?」
「…はい。お久しぶりです……」
「すごいなぁ!10年以上ぶりかな?変わっていないね。勝彦とは仲良くしてくれてる?」
「昔ほどではありませんが、それなりに…」
「そうか。ご両親は元気?」


そこには私の知らない佳乃とおじさんがいた。


「ハニーたち!!連絡あるから集合だって~!!」


2人の関係を聞きたかったが、直人の呼びかけに私たちはその場を後にした。