それから暫く俺はるみに“微笑み”の特訓を受けた。



なんだかなぁ・・・




腕時計に目をやると、針はとっくに11時を指していた。


その、くだらないミスコンは午後1時から行われる。
今日の一大イベントって訳。

そんなのに俺出るの?


一度引き受けた以上やりきってやるけど、俺の退学するかしないかの命運がかかってんだぜ?


だいたい、このミスコン出場者は必ず理事長の目にも留まるはずなのに、なんで反対してくんなかったんだよ。


どこ見てんだよ、協力するって言ってたの嘘だったのかぁ?



「チッ・・・めんどくせぇ」




思わず舌打ちをしてしまってハッと回りを振り返る。



学祭の今日はどこを通っても生徒で埋め尽くされていた。
ダルそうな俺とはまるで正反対の活気に溢れた声が色んな教室から聞こえてくる。


俺たちの2年A組は、肝試しをやるっていってたな。
俺は、ミスコンに参加するってゆーんでほとんどそのクラスの出し物にはノータッチだった。
てゆーか、るみが手を出さしてくれなかった。



覗いてみるか。



実際、会場になっているのは別の教室だった。
全クラスの代表がくじ引きをしてどこでやるかを決めたって訳。

で、俺たちのクラスは旧校舎の一番奥。

ボロくて湿っぽくて、ほんとに肝試しには最適の場所。
でも、くじ引きした壱矢はクラス中のブーイングを受けてたけど。
あんまり、生徒が寄り付きたくない場所らしい。

俺、あんま知らないけど。




・・・・んー、たしかに。


ここは、まじでナニか出そう。



俺は、人通りのまばらな廊下を進み長い廊下の突き当たりの教室へたどり着いた。



入り口には“恐怖の要塞”なんて赤いペンキで書かれている。



ベタだなぁ。



中から物音は聞こえてこない。



誰もいないのか?


俺は、黒いカーテンをめくると中に顔を突っ込んだ。