俺は朝からイライラして落ち着かなかった。

とうとう来てしまったんだ・・・・この日が。



そう、今日は問題の星創学祭当日。






「はあ」




俺は大きく溜息をつくと、教室の窓枠に両手をついた。
窓からは、心地よい風が吹き込んでくる。
天気は秋晴れ。

雲が風に乗って運ばれてくる様子を眺めてから、俺はそこから目を逸らした。



「・・・で。これなに?」


精一杯の笑顔。
いや、もう笑ってないかも。
ほっぺたなんか、めっちゃ引きつってるし。


「え?」



俺の視線の先には、小首を傾げるるみの姿。
そして、その横には日向が不安そうな表情を浮かべている。


こいつら・・・



「“え?”じゃねっつの!これを説明しろって言ってんの!」



俺は、自分の目の前の机にるみによって無造作に置かれた布切れを掴んだ。



「説明って・・・・・・・見てわかんない?チャイナ服じゃん」


「・・・」


俺、限界かも。

もう、額には青筋立ちまくりでしょ。
間違いなく。


るみは「かわいいっしょ?」なんて、それを広げて見せた。

青い光沢のある生地に、金やら赤やら色んな色を使って派手な柄が敷き詰められている。その上、かなりのスリットが入っていて、見ているだけでも背筋に悪寒が走った。

これを、俺が着るだと?



「絶対、ナオに似合うとおもうんだよね」

「ふざけんな!」

「ナ、ナオ。これには訳が・・・・・・・・」


思わず叫んだ俺に、日向はとっさにそう言ったものの、たいした“訳”なんてないんだろう。

目を泳がせて、困ったように俯いてしまった。




はあ・・・・なんなんだ。