俺は、立ち上がると小物を売っている店に向った。
その中から、まるで宝石をあしらったようなキラキラと輝く携帯のストラップを選んだ。
俺の様子を座ったままぼんやり眺めていたるみの前に立つと、たった今買ってきたストラップを差し出した。
「……ナオ?」
「誕生日。おめでとう」
「え?」
るみは驚いて、俺と目の前のストラップを交互に見比べた。
「そんな男、こっちから別れてやれよ」
「……」
俺は、いつもの倍に開かれたるみの瞳を真っ直ぐ見つめて言った。
俺……こーゆうのは得意じゃないんだけど。
「……うまく言えないけど。
もっとるみの事大事に想ってくれるやつ絶対いるって。
泣くだけもったいないじゃん?
泣くのは、まだ、早い!
……そいつのためにとっとけって!」
俺はそう言うと、ニカッと笑って見せた。
うわぁ……俺、さすがにさぶい。
極寒……。
あぁー! もう!
口を開けたまま俺を見つめるるみの手を強引に掴んで、その中にストラップを渡した。
るみはしばらく、自分の手を見つめたまま黙り込んでしまった。
やっぱハズした?
静かな沈黙。
やべ……顔が……超、熱い。