「今日さ……あたしの誕生日なんだよ?
プレゼントもなし。おめでとうもなし。
あたしの1年に1度の記念日にもらった言葉は
『好きな子できたから別れてくれ』って。
なーんにも言い返せなかった。……あたし。

お返しに一発殴ってやればよかったよぉ」



「…………」




そう言って、あははと笑ったるみの手が小さく震えているのを俺は見てしまった。



唇を噛締めて、るみは泣いてしまわないようにグッと耐えているようだった。



きっと、さっきも泣くもんかって、必死に堪えていたんだろう。








俺は前の通りに目をやった。



幾つもの小さな露店が軒を連ねて、道の脇に遠慮がちにたっている。

その中の一つは、女の子が喜びそうな小物やアクセサリーを売っていた。





俺は、そこから視線をるみに戻した。





「……」





よし。