壱矢に連れてこられたのは、街の中心にひっそりとたたずむ小さな公園だった。




郊外にある、俺の家からは真逆へ連れてこられたらしい。




近くには大きなショッピングモールがあって、この辺りは結構人通りが激しい。
平日といっても、学校帰りの学生やなんかで賑わってる。



黄色く色づいたイチョウの木々が街に花を添えていた。





その大きなイチョウに囲まれた公園の中には、小さなベンチが一つ。
あとは、すべり台が遠慮がちに存在している。

公園の周りの歩道や道路はたくさんの人や車の行き来があるのに、この公園の中だけはまるでぽっかり穴が開いてしまっているように、人気はなかった。








なんで壱矢がこんなところに俺を連れてきたんだろう。



「一体なんだよ?」



まだその意味がわからない俺は、横に並んでいる壱矢を見上げた。