「チューされたいの?」
「!?」
マジメな顔で日向を覗き込んでみる。
みるみるうちに顔が赤くなる日向。
まるで頬が林檎のようだ。
「・・・・」
「☆○◇×?!」
口をパクパクさせて声にならない声を出す。
「・・・も・・・ムリ・・・あははは」
耐えきれなくて思わず吹き出した俺を見て、日向の顔はますます膨れ上がる。
「うぅ・・・ナオ~からかわないでよぉっ」
俺がちょっかいをかけて楽しんでいるのに日向は一行に慣れないらしい。
「ごめん。つい・・・ははは」
日向は頬を赤らめたまま口を尖らせている。
俺は、落ち着こうと黒板を見た。
そこには、壱也の字で“星創祭について”と走書きされている。
俺にとって初めての学校行事。
(どうでもいいな・・・・)
俺は窓の外を見上げた。
空は羊雲が広がる、秋空だった。