体育館には、すでにこれでもかってほど人で溢れていて。
よく、ここまで詰め込んだなって感心してしまうほどだった。




みんなだるそうに並んでいる。
俺も日向も、そっとその列に入った。




それからほどなくして修了式が始まり、1年間の功績なんかをセンセ達が言っていたけど。



……だけど、そんなのまったく頭に入らなくて。




耳に入っては、すぐに抜けてしまった。







「……」




さっきの日向の言葉が、壊れたCDみたいに、ずっと頭の中をグルグル回ってる。





ふと顔を上げると。
開け放たれた体育館の窓から、眩しいくらいの日差しが射しこんでいる。


薄暗い場所にいるせいか、まるでそこが別の世界みたいにキラキラして見えた。





気が付くと、壇上の上では、あのメガネの校長が何かを熱く語っている。


時々、メガネがずれるのを指でクイッと直してるのをぼんやりと眺めながら、少しだけ後ろを振り返った。



みんな校長の話なんてまるで興味ないようで、あくびをしてるヤツ、ケータイをいじってるヤツ。隣同士で話してるヤツもいて。



その中に、うつむいた日向を見つけた。




……。




そんな俺に気付いたのか視線だけ上げて、ビクッと震えた日向。

火が付いたように、ボボって感じでその顔が赤くなっていく。




「…………」




……日向の気持ちに……気が付かなかったってのは。
きっと俺が、ちゃんと日向を見てなかったから。


あーいう顔、俺知ってる。


何度も、何度も、サインはあったんだ……。