その先には。
大きな目を見開いて、珍しく髪をピンでとめてる日向。


俺と目が合ったのに気付いた日向は、少しだけその視線を揺らした。



その隣からるみも顔をだし、だんだん大きくなる騒ぎの中、先生たちも駆け付けて。






俺は、職員室で一時待機となった。






来客用のソファに深く腰を沈め、俺はポテッと頭をもたげた。



見えるのは、古い天井。
それをしばらく眺めて、そっと目を閉じた。


職員室の外は、なにやら騒がしい。






どうなんのかな、俺。
今、センセー達が緊急会議開いてるらしいし。

年明けて早々、俺、ついてねぇな……。


つかさ、今までバレなかったことが奇跡なんだよな。




俺、男として自信なくしそぉ……。





「ふー……」





息を吐き出して、腕を額に乗せた。




こんな事態になっても、意外と冷静な自分がいて。
でも、不思議と心が軽かったんだ。



開けていた目を閉じると、浮かんできたのは一瞬だけ見えたあの顔だ。

日向……心配してたな……。
壱也もるみも、何も聞かれてないといいけど……。




と、その時。


グテーッとしていた俺に声をかけてきたのは



「とうとうやったな!」



と、何とも軽い声。