――新年早々。

俺の眉間には、いつになく深ーいシワがよっていた。




…コンコン



「……あの、咲坂です」



ぎこちなく声をかけ、扉をノックする。




「どうぞ」



中からは、あまり聞きなれない声。
その声を確認した俺は、小さく息を吸うと、そっとドアノブを掴んだ。



「失礼しまーす」



視線を上げると、そこには5ヶ月ぶりに見る理事長の姿。


あの椅子に座って、何かの書類に目を通していた彼女はメガネをはずしながら顔を上げた。



「久しぶりね、咲坂さん」


「はあ」



にっこりと微笑む理事長に向かって、曖昧な返事しか返せない俺。

そんな俺を見て、さらに理事長は笑顔になる。



「うまくやってるみたいね。 先生達の出番ないみたいじゃない」

「……まあ」



どこが“うまく”だ。

もう、壱也と日向の他に、2人にもバレてるっつの。





それ、知らないのか……。
バレたら退学、だもんなー……。



理事長がその事を知らないみたいで、ちょっとだけホッとする。