「……持田に? 最近仲いいんだね、きみら」
「……、何が言いたいんだよ」
語尾にトゲがある。
ジロリと見上げた先に、意味深に「別に」ってつぶやく壱也。
んだよ……。
「ところで、日向とは仲直りしたの?」
「……」
「今日、一回も話してないだろ」
壱也は俺に背を向けると、窓から外を眺めた。
ソファが少しだけ押されて、壱也の体重がかけられたのがわかる。
俺はチキンをお皿に戻すと、コップのお茶を口に含んだ。
「……話してないどころか……」
目も合わせてもらない。
そうだ……。
ずっと俺に気付かないフリ。
知らないフリだ。
まだ怒ってんのかな……こないだのキス……
「キスしたこと、後悔してんの?」
な!
「……ぶはッ! ごほッげほッ」
驚いて口に入れてたお茶を全部吹き出してしまった。
な、な……な、なんで知って……
「なはは。わかりやすいな〜ナオは」
「……か、からかってんのか」
まだ心臓がバクバクしてる。
……死ぬかと思った。
「あああ!!!!」



