「……、……」
俯いてる日向の顔は見えないけど。
でも、何か言った。
「え?」
よく聞こえなくて、その声をちゃんと聞きたくて。
俺は身をかがめて、日向の顔を覗き込んだ。
だけど、それとほぼ同時。
日向は勢いよく顔を上げると、キッと俺を睨んだ。
「……ナオはずるい!
……―みと……いつも一緒にいるくせに。
こんなふうに、期待しちゃうような事……あたしにしないでっ!」
「……」
は?
期待……?
って、なにそれ……。
ずるいって、俺が?
てゆか、泣きながら言う事なの、それ……。
ハラハラと真っ白な肌に零れる涙の意味が、俺にはわからない。
だいたい、なんでるみが出てくんの。
何も言えない俺からとうとう視線を落とした日向は、今にも崩れてしまいそうだ。
「あたし……どうしたらいいのか、もうわかんない……」
「…………ひな?」
泣くなよ……頼むから……。



