その拍子に彼女の手から箒が放り出される。
でも、俺はそのまま日向の細い手首を掴んで歩き出した。
「ちょ、ナオ?……まだ掃除途中!離して」
「誰が離すか! 壱也にやらせりゃいいじゃん」
自分がなにしてんのか、さっぱりわからなくて。
でも、ただ、ふたりが楽しそうに笑って話してるのが無性に嫌で。
ムカついて。
この後どうしようかなんて、まったく考えてない。
「えー、俺ぇ?」
面倒くさそうに言う壱也にの声が耳に届く。
「じゃあな、 日向借りてくから」
だけど、俺は背を向けたまま言った。
「意味わかんないっ、離せー!」
全身で抵抗する日向。
そんなに拒否られると、余計に……。
腹立つっつの!



