階段を駆け下りて、下駄箱で靴を履き替えた。
かかとを踏んだまま、向かう先は。
「……――日向!」
「……ナオ」
屋上にいた時とは比べ物にならないくらい、寒い。
冷たい風が、落ち葉と一緒に日向の髪を揺らした。
俺の声に一瞬ビクリと体を強張らせた日向は、大きな目を見開いて何度も瞬きをした。
……ムカムカ
その隣には、壱也がいて。
ムカムカ、ムカムカ
んだよ、やっぱり壱也かよっ。
鞄を持つ手に力が入る。
日向と同じように俺を見てきょとんと目を見開いている壱也をジロリとにらんでから、また日向を見据えた。
「何か用?」
日向はツーンと顔を背けながら言って、また箒で落ち葉を集めだした。
俺の話、聞く気ねぇーな。
……――上等だ。
「お前、ちょっと来い!」
「えっなに? なによっ」
近づいて、ガシっとその腕を掴んだ。



