しばらく女子につかまっていた俺。
あの後、勝手に髪をいじられたりしたあたり、
俺の“天使の微笑み”は効果がないらしい。
勘弁してよ……。
やられたい放題の俺。
メガネをかけた神経質そうなやつが、俺らが掃除しないのをジロジロ見ていたけど、なにも言わなかった。
「じゃーね、ナオっち!壱也くんなら下の中庭の掃除当番だからね!バイバーイ」って携帯片手に教室を出て行く女子達。
俺も愛想笑いを浮かべながらヒラヒラ片手を上げた。
「……」
参った……。
どっと疲れた気がして、はああと大げさにため息をこぼす。
つか壱也がどこにいても俺には関係ねーし。
持っていた箒をロッカーにしまうと、机にかかっていた鞄をつかんだ。
「……あ」
ふと窓の下をのぞくと、そこには日向の姿。
大きなごみ袋をもって、楽しそうに笑っている。
赤や黄色、オレンジの色とりどりの葉っぱのじゅーたんの上で、今日一度も俺に見せてない顔で話す日向。
なぜかその姿がムカついて。
「……なんだよ」
俺は乱暴に鞄を肩に引っ掛けると、教室を後にした。



