ヒミツの王子さま!


って、言ったはずだった。

でも、るみの跳ねるようは声と、クラスのざわめきが俺の声をかき消したらしい。
日向は相変わらず、俺達のことなんか気づいていない様子で、雑誌を眺め続けてる。

俺を席に無理矢理座らせて、るみはその前の椅子にドカッと座った。


……足を広げるなよ……。
パンツ見えるぞ、ばーか。


なんて目を細めた俺になんか気づかず……るみは楽しそうに話し続ける。




「あーあ、もう12月だねぇ。 そうだ!柳川がクリスマス集まろうって言ってたよ!もちろん参加でしょ? ね、ナオも行くよね?
…………ナオ?」


「え、なに?」




やば。


きわどいスカートの裾が気になって、話聞いてなかったし。


つか、短すぎだろーその丈。
日向よりも2~3センチは短いはずだ。





我に返り顔を上げると、そこには…………。

今まで雑誌を見ていたはずの日向が俺を見ていて。
その視線は、なぜか俺に突き刺さる。


悪意がある……、絶対。



なぜか頬が引きつりそうになって、それをごまかすように俺はぎこちなく頬を緩めた。



でも、そんな俺にさらに目を細めた日向のぷっくり熟れたピンクの唇が開いた。




口だけが動く。




え?

なに?


…………?



え、………ち…………、




「……んな!  なんで俺がそーなるんだよ!」



ガターン!
と勢いよく立ち上がった拍子に椅子までが倒れた。


一瞬シンと静まり返る教室。



「……な、ナオ?」



ビクッと体を震わせたるみが、大きく目を見開いてる。

全然悪びれたようすもなくて、日向はツーンと顔をそむけてしまった。



「~~、~~……」





くそ、『えっち』ってなんだよそれ!!
見えそうなもんがあったら見るだろ、ふつー!

俺だって、男だぞ!!


なんだよ……なに怒ってんだよ、日向のヤツ。