大きな声を出したるみに、思わず体がビクリと震えてしまった。

なんとなく気まずくて、思いがけず動揺してる俺もいて。


それを隠すように、髪をクシャリと混ぜながらなんとか言葉を探す。



「……あーーーっと。ごめん。なにから説明したらいいのか……でも、日向は責めないでやってよ、全部俺が悪いんだし」



吐き出すようにそう言って、顔を上げた俺は目を疑った。



「…………るみ?」




怒ってる。


そりゃそうだろ、だってだましてたんだもん。




そう思った。




だけど……るみは目を閉じてて、だけど次の瞬間「ふっ」って吹き出すと、呆れたように口元を緩めたんだ。




「なぁーんだあ! やっぱりそうなんだ。
そーなんじゃないかってずっと思ってた。 それなら全部が納得だよ」


「……は?」



な、……納得?




足元に落ちていた本を拾い上げて、棚に戻しながら、るみは全然変わらない様子で言う。





「みんなには内緒なんでしょ? あたしも仲間に入れてよね!あ……と、いう事は……付き合ってるって噂あった宮沢も知ってんだ!」



「え? あ、ああ……まあ」



なんて曖昧に返事をして、思わず日向に視線を送る。


どういう事だ?

これは。




「でもよかったぁ! これで堂々とナオが好きだって宣言できるじゃん!」


「はぁ!?」



目の前でパチンと手を合わせて、解決の糸口を見つけた探偵みたいな感じで腕を組んだるみ。



な、なんでそーなんの?

「あたし実はマジでちょっと悩んでたんだよね。 同性を好きになっちゃったのー?ってさ。

ねっ! ナオ!」



ね!って言われてもな……。
色々突っ込みたいことあるけど……。


とりあえず、変なヤツ。