「君、さっきの…っ!!」


その生徒は俺を指差して驚いている。


「なんだ、槙野。お前ら知り合いか?」


先生は俺と“槙野”を見比べてる。


「先生…マジで男……?」


隣につっ立っていた男子生徒はとても信じられない言う顔をしている。


俺が見上げてしまう程、背の高い彼。
見た目は、とても軽そうでチャラチャラしてる。


マジマジと食い入るように俺を見ている彼を俺も負けじと睨み返す。
その視界に槙野が割って入ってきた。


「先生から話聞いてるよ。君、男子なんだって?さっきはまんまと騙されたよ」



いや・・・勝手に騙されたんだろ。

あ…違うか。


俺、騙してるんだった。


彼女は何がそんなにおかしいのか、楽しそうにケラケラと笑った。

そう。

彼女はさっき俺が職員室の場所を聞いた女子生徒だった。



「ははは…それはどうも」



俺は、頬のあたりがヒクついている事がバレないように口元を手で覆った。



「知り合いなら話は早いな」



先生は、コホンと咳払いをして俺に向き直った。



「咲坂。彼等はお前が今日から入るΑ組のクラス委員だ。
宮沢壱矢(イチヤ)と槙野日向(ヒナタ)。
お前の事はこの2人がサポートするからな。何かあったら相談するんだぞ」



槙野はにっこり微笑んだ。
そして、宮沢はまだ納得いなかい様子で俺を見つめている。



・・・・・そんなに見るなよ



俺が男なのがそんなに信じらんねーか!!!!


俺の命運は、この2人に託された。