それはおとぎ話のように

それからは自然と笑える日が増えた。
2人と一緒にいられることが幸せだった。
そんなある日。
「あー、マジで面倒いわ。」
彩音が突然ケータイを見ながら言った。
「彼氏?」
「そうそう、もうウザいの。」
あ、私の事かと焦った。
「あ、紗羅には話してなかったね。」
「あ、うんいいよ。」
特に気にしてした訳ではないし。
「んで、今度は彼氏とどうしたの?他校だっけ?」
「もお、束縛?あれウザい。」
話が大人の内容でついていけない。
「紗羅はどう思う?」
「え?」
付き合うどころか恋愛経験のない紗羅にとって、何が1番いい言葉なのかさえ思い当たらない。
「ってかさ、紗羅って好きな人とかいないの?」
「好きな人...え!?」
友達すらまともにできなかった紗羅が好きな人などいるはずもない。
「その反応はいないか。」
と彩音がケータイを閉じて言った。
「まぁ、紗羅。恋愛は誰でもするから。」
「付き合うとかはどう思ってんの?」
付き合う?
考えたこともない。
「よくわからない。」
本当によくわからない。
だいたい男の子って少し怖いし。
「まぁ、焦るもんでもないけどね。」
いや、そもそも作る気もあまりない。
今は2人といられることが幸せなのだから。
それ以上のものを強請るのは流石に贅沢すぎる。
そう思った。
「まぁ、彼氏のことはどうでもいいや。」
彩音は本当にめんどくさそうに言った。
でも、本当に大人だなと思った。