あれから逃げるように高校へ入学した。
精神的にも限界で、受験なんで受からないかもしれないところまで追い込まれていたが、両親の決死の対策(とは言っても塾を個別にしただけ)により何とか志望校へ合格した。
だが、入学したからといって何か変わるわけではない。
また1人になることに変わりはないのだから。
唯一救いなのはいじめから抜け出せたことぐらいだろう。

そんなある日1人でお昼を食べようとしていた時だった。
「宮野さんだよね?一緒に食べない?」
突然の誘いに戸惑っていると
「ほら早く!」
と半ば強引に引っ張られ一緒に食べることになった。
「あ、私藤堂彩音ね。よろしく」
藤堂彩音、大人っぽくてとても綺麗な人だった。
「私は小野寺美咲!」
先ほど半ば強引に引っ張った元気の良い小野寺美咲は見た目から元気そうな女の子だった。
「...」
しかし、私はどうも言葉が見つからず黙っていた。
この光景は前に見た気がする。
そう、小学校3年生のときのあの時と同じなのだ。
きっとまた私はこの人たちを傷つけてしまうだろう。
そして再び1人の孤独と恐怖に怯えるのだろう。
そうなるぐらいなら...。
そう思ってた矢先、美咲ちゃんからこんな言葉が飛び出した。
「笑った方がかわいいと思うよ!」
こんな優しいことばかけてもらえたのはいつぶりだろうか。
友達という言葉だけのグループに属してはいても、なにかしらの暴言なのだたたあった。
あまり優しいことばかけてくれたことがなく、無意識に涙が頬を伝っていく。
「大丈夫?なんかあった?」
彩音が心配そうに私の顔を覗き込む。
「い、いや...、っなん、でも...」
嗚咽により言葉が上手く話せない。
お礼を言いたい。
そして、私に構わないでと言いたい。
優しそうな2人だからこそ、今度こそ誰も傷つけたくない。
「紗羅?話してみな?」
優しく語りかけ、私が泣き止むのを待ってくれた。
あぁ、神様。
私にこんな幸せを与えたらきっと同じ間違えをしてしまう。
そして言葉を出した。
「私に...構わない...方が...。」
言いかけたところで美咲ちゃんが声をあげた。
「何言ってるの!?私達、紗羅と仲良くなりたい!」
やっと泣き止んだはずなのにまたボロボロと涙がこぼれる。
「ね?」
今度は優しく言い聞かせるように言い、私の肩にそっと手を置いた。
その手の温もりがとても暖かくて。

神様。
私はもう一度だけ甘えていいですか?
この幸せを噛み締めてもいいですか?