そうして、浩智は愛美と付き合った。
相変わらず周りは浩智のことを悪く言っていたが愛美との時間で浩智は忘れることができていた。
浩智17歳の記憶
浩智と愛美が付き合い始めて1年が過ぎた頃に愛美は突然発作を起こして入院することになった。
病名は心臓病だった。
「また...」
浩智は不安になった。
母親がいなくなった原因。
父親が治せなかった病気。
愛美はヒロの不安に気付き、こういった。
「私、手術するよ。ヒロとまだ一緒にいたいもん。」
「でも、手術は絶対に成功するわけじゃないだろ...」
「大丈夫だよ、なんか私、失敗する気になれないもん。」
そう言って弱々しく笑った。
きっと愛美は生きていてくれるそう思い静かに頷いた。
「頑張れよ。」
そう言った。
手術当日は浩智は朝から愛美の側にいて手術に付き添うことにした。
そして、手術が始まった。
何時間経ったかわからない。
そして、手術室のランプが消えた。
愛美は...助からなかった。
浩智にとって生きる希望を失いかけていた。
部屋に籠りきりになった。
そして不意に部屋のドアが開いた。
「浩智、いつまで学校休むつもりだ?」
父親であった。
「ほっとけよ。」
すると父親は浩智の前に座りこう話し始めた。
「浩智。お前が医者になりたいと言った時、父さんも母さんも嬉しかったよ。」
「...」
「でも同時に不安になった。」
ふと浩智は父親の顔をみると、何時ものような凛々しい顔ではなく、なんとも弱々しい顔をしていた。
「医者というのは、人の命を助ける仕事だ。だが、いつも助けられるわけじゃない。そのときお前は辛い思いをすることになる。」
「...」
浩智は黙ってただ話に耳を傾けた。
「誰か好き好んで大事な子供に辛い思いなんてさせたいものか。」
そういった瞬間、涙をこぼし始めた。
「親父...」
浩智は泣きそうになりながら声を振り絞った。
「俺は医者になる。母さんと愛美、そして親父を苦しめたあの病気を俺の手で治せるようにしたいんだ。」
それから浩智は今までになく勉強をした。
大学はアメリカの大学に進学した。
心臓病という忌々しい病気から今度こそ救い出すために。
そして、現在に至る。
自分が担当している患者が心臓病を患った。
そのために今まで勉強してきたが、いざとなると浩智も不安で仕方なかった。
(あの小さな体にメスを入れなければならないかもしれない。あいつを殺すのは俺かもしれない。)
そんな不安が浩智の頭の中でよぎったのだ。
紗羅は愛美によく似ていた。
顔や身長が。
だからこそ余計に不安なのだ。
あの、最後の日の愛美の笑顔。
あんな顔をされて手術を受けるなどと言われたらどうしようかと。
そんなことを考えていた。
相変わらず周りは浩智のことを悪く言っていたが愛美との時間で浩智は忘れることができていた。
浩智17歳の記憶
浩智と愛美が付き合い始めて1年が過ぎた頃に愛美は突然発作を起こして入院することになった。
病名は心臓病だった。
「また...」
浩智は不安になった。
母親がいなくなった原因。
父親が治せなかった病気。
愛美はヒロの不安に気付き、こういった。
「私、手術するよ。ヒロとまだ一緒にいたいもん。」
「でも、手術は絶対に成功するわけじゃないだろ...」
「大丈夫だよ、なんか私、失敗する気になれないもん。」
そう言って弱々しく笑った。
きっと愛美は生きていてくれるそう思い静かに頷いた。
「頑張れよ。」
そう言った。
手術当日は浩智は朝から愛美の側にいて手術に付き添うことにした。
そして、手術が始まった。
何時間経ったかわからない。
そして、手術室のランプが消えた。
愛美は...助からなかった。
浩智にとって生きる希望を失いかけていた。
部屋に籠りきりになった。
そして不意に部屋のドアが開いた。
「浩智、いつまで学校休むつもりだ?」
父親であった。
「ほっとけよ。」
すると父親は浩智の前に座りこう話し始めた。
「浩智。お前が医者になりたいと言った時、父さんも母さんも嬉しかったよ。」
「...」
「でも同時に不安になった。」
ふと浩智は父親の顔をみると、何時ものような凛々しい顔ではなく、なんとも弱々しい顔をしていた。
「医者というのは、人の命を助ける仕事だ。だが、いつも助けられるわけじゃない。そのときお前は辛い思いをすることになる。」
「...」
浩智は黙ってただ話に耳を傾けた。
「誰か好き好んで大事な子供に辛い思いなんてさせたいものか。」
そういった瞬間、涙をこぼし始めた。
「親父...」
浩智は泣きそうになりながら声を振り絞った。
「俺は医者になる。母さんと愛美、そして親父を苦しめたあの病気を俺の手で治せるようにしたいんだ。」
それから浩智は今までになく勉強をした。
大学はアメリカの大学に進学した。
心臓病という忌々しい病気から今度こそ救い出すために。
そして、現在に至る。
自分が担当している患者が心臓病を患った。
そのために今まで勉強してきたが、いざとなると浩智も不安で仕方なかった。
(あの小さな体にメスを入れなければならないかもしれない。あいつを殺すのは俺かもしれない。)
そんな不安が浩智の頭の中でよぎったのだ。
紗羅は愛美によく似ていた。
顔や身長が。
だからこそ余計に不安なのだ。
あの、最後の日の愛美の笑顔。
あんな顔をされて手術を受けるなどと言われたらどうしようかと。
そんなことを考えていた。
