それはおとぎ話のように

当日。
開催式が終わり、すぐ自分の持ち場につく。
思いの外お客の伸びが悪かった。
「お客さんこないねー。」
「呼び込みでもする?」
クラスの中で不安の声が上がった。
こんな時何をすれば良いだろうか。
紗羅は考えるが思いつかない。
そもそも自分が呼び込みに行ったところでちゃんとお客さんと話が出来るかすら怪しいものである。
「なにもしないんじゃ話にならない!よし、呼び込みに行こう!」
とクラスの男女合わせて6人で呼び込みへ。
少ししたらお客さんは増えた。
しかしなんだが騒がしい。
何だろうと紗羅は外を覗いた。
そこには、顔立ちがとてもよく、高身長な男性(恐らく学生ではない。)人が店の中に入ってきたのだ。
年頃の女子高生なら誰もが釘つけになるだろう。
が、彼氏は愚か、恋愛経験のない紗羅にとってはかなりどうでもよかった。
「ねぇ、あの人めっちゃかっこよくない?」
「彼女とかいるのかな?」
「ちょ、声かけてみようよ!」
「だ、誰が行く?」
そんな話で盛り上がってる中、紗羅は騒がしい原因がわかったとことで自分の仕事に戻った。

この出会いが、紗羅の中で大きな変化に繋がることも知らないで。

「ねぇ、紗羅。ああいうタイプはどうなの?」
不意に美咲からそう言われたが返答に困る。
どうと言われてもとくに何とも思わない。
別に自分は面食いではない。
まぁ普通にかっこいいとは思うがそもそもそういうタイプは自分には無縁だということは熟知している。
今更かっこいいとか付き合えたらとかないのだ。
「普通に...かっこいいかな?」
「それだけ?」
どこか詰まらなそうな顔をする美咲であったが、これが紗羅の正直な感想で、それ以上に何もないのだ。
「うん」
美咲はそれ以上質問することもなく、そっかと言って自分の仕事をはじめた。
そもそも恋愛感情すら知らない紗羅には質問の答えは難しすぎるのだ。
いったい何がベストだったのか少し考えたがやはり答えは見つからない。
相変わらず外は騒がしく、その男性の周りに女子は群がっていた。
しかし、どうもその男性だけが目当てなのではなく他に3人ほどいわゆるイケメンと呼ばれる人達もいるためそこの空気だけ何処と無く違うのだ。
大人の放つオーラと言うのだろうか。
それにもうメロメロのようだ。