愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】



もう、自分に嘘はつけない。

余計に苦しかった。


「恭太郎、噂のことなんだけど…」


「噂は噂だよ、」


「ごめん…、恭太郎…ありがとう。」


「大丈夫だよ」


「恭太郎、私ちゃんと、言う。」


「うん、応援してるよ」


なぜあの時心が痛んだか。


それは嘘をついただけじゃない。

素直に言えなかったからだ。


「お互いに頑張ろうね。」


「うん。」

大丈夫、大丈夫だから。