愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】


バスケの時だった。

その時、私の心は動いた。


『お前シュート決めんのやっとだな』


圭太の一言だった。


『俺のシュート見た?って千尋は恭太郎しか見てねぇもんなー!』


ちゃんと圭太のシュートみたよ、って言えなかった。


『ねぇ千尋よかったじゃん!圭太にちゃんと応援してもらって!』


そう、華奈が言った圭太の行動。

なぜ私を見たの?って。


そんな何気ない優しさが伝わった。


私はただ、圭太と隣でいればそれでいい。

それに、圭太は好きな人いるんだ。

そう自分に言い聞かせたはずだった。


隣にいるだけでどんなに幸せか、私は何も考えていないだけだった。