バスケの時だった。
その時、私の心は動いた。
『お前シュート決めんのやっとだな』
圭太の一言だった。
『俺のシュート見た?って千尋は恭太郎しか見てねぇもんなー!』
ちゃんと圭太のシュートみたよ、って言えなかった。
『ねぇ千尋よかったじゃん!圭太にちゃんと応援してもらって!』
そう、華奈が言った圭太の行動。
なぜ私を見たの?って。
そんな何気ない優しさが伝わった。
私はただ、圭太と隣でいればそれでいい。
それに、圭太は好きな人いるんだ。
そう自分に言い聞かせたはずだった。
隣にいるだけでどんなに幸せか、私は何も考えていないだけだった。

