愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】



「千尋ちゃん!いいの?夕日君…」

「そう!行かなきゃ…」

だけど…夕日君がいない。
どこにいるの?

「私が教えようか?」

理子ちゃんだ。

「花田さんの宝物が、忘れ物がある場合よ。」


私の宝物…忘れ物…。

「ありがとう!」

私の思い出の場所。
そこは4階、2ーA組。

私は1段1段足を運んだ。

ドアを開けると、静かな教室が待っていた。


その時ハッと息を潜めた。


そっか…私の…



違う…。
私が忘れた物は…形のない宝物だ。