愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】


放課後、帰り道をひかるちゃんと歩いていた。

「ひかるちゃん!千尋ちゃん!」

背後から走ってきたのはさゆりだった。

「途中まで帰ろ~」

「さゆりって卒業式親来るの?」

「うん!東京からお父さん来てくれる!」


「さゆりのお父さん見てみたい!」

さゆりもたしかおじいちゃんとおばあちゃんと3人暮らし。
お父さんが転勤で東京に行ったって…寂しいよね…。

「千尋は?」

「ん…、両親が来てくれるって。たまたま休みだって。」

「よかったね!!」

そうだ、2人に比べたら私はわがまま言ってられない。

「千尋ちゃんのお母さんって?」

あまり答えたくない質問だった。