手の甲は赤く腫れ、引っ掻いた跡があった。
爪も赤く染まっている。
自分でやった。
無意識?わからない。
皮膚から血が滲み出てくる。
爪をむく悪い癖は未だになおらない。
「ねぇ…もう止めよ?」
私のこの手で夕日君の手に触れた。
あの時触れたひんやりと冷たい大きな手。
今、辛く感じる。
なんでさ…なんでこうなったんだ…。
なんで…今…つまんないの。
「ねぇ!!千尋ちゃん!!……もう、自分を傷付けるのはやめて?」
「うん…」
「エスカレートして行ったらリストカットだってしでかさない…!
心の痛みを体の痛みでごまかさないで…!
壊れないで……。」

