愛合傘Ⅰ~終わることで始まる物語~【完】


手の甲は赤く腫れ、引っ掻いた跡があった。

爪も赤く染まっている。

自分でやった。

無意識?わからない。

皮膚から血が滲み出てくる。

爪をむく悪い癖は未だになおらない。

「ねぇ…もう止めよ?」

私のこの手で夕日君の手に触れた。

あの時触れたひんやりと冷たい大きな手。

今、辛く感じる。

なんでさ…なんでこうなったんだ…。

なんで…今…つまんないの。

「ねぇ!!千尋ちゃん!!……もう、自分を傷付けるのはやめて?」

「うん…」


「エスカレートして行ったらリストカットだってしでかさない…!
心の痛みを体の痛みでごまかさないで…!
壊れないで……。」