それはいつも通りの放課後。 夕焼けが眩しくて空はオレンジ色に染まっていた。 帰る頃、何処からか音が聴こえた。 ピアノの音だ。優しい音。 文化発表会で歌う課題曲だ。 音のなる方へ足を運ぶ。 足が、自然と早歩きになり、音楽室の扉を開けた。 ピアノに腰かけていたその人は私に気付き、ピタリと手を止めた。 「ピアノ、弾けるんだね…」