―中3秋―


10月、私達は受験に追われていた。

「千尋…」

うつ向きがちに私に声を掛けたのはさゆりだった。

「またなんかあった?」

「うん…奈美と図書館行ったら…偶然見つけて、二人で勉強してる姿が堪えきれなくてその場をすぐ離れたの…。」


やっぱり…まだ…。

本当は気づいていた。

さゆりが圭太の事が好きだなんて。

そりゃあ、すぐには無理だよね…。


私も、振られたのに、まだ好きだから。