休み時間、私は一ノ瀬とちょこちょこ話すようになった。

でも、なぜか上手く喋られない。
由良が私を見る視線の感じがハンパないから。

音楽の時間。姫乃が珍しく私の事を応援してくれたのか、由良にこう言った。



「一ノ瀬の事好きなの?」


すっ、すげぇ…。私ならあんなはっきり言えないわ…。

由良が自慢げに答える。

「ああ、一ノ瀬と幼馴染みなだけ。好きじゃないし。」

一ノ瀬の下の名前は蓮ーレンーという。

「だから蓮の事下の名前でよぶのも、幼馴染みだから。」

姫乃と由良が話す声が自分の耳に入り込む

由良、苦しいからもうそれ以上言わないで…!!

幼馴染みだって事はわかってる。由良は別に悪くない。ただ、私が勝手にヤキモチをやいているだけだ。

音楽の時間が終わって姫乃が言った。

「由良って、生意気だね、気にすんな!」

姫乃はもっと気の強い子だと思っていた。


人は見た目で判断しちゃいけない…。
姫乃のおかげで今やっと小さな事がわかったよ。

「ありがとう。」