実紗がレンガで殴られて亡くなったあと、あたしは自分の足で近くの警察署へ向かったのだ。


実紗の遺体に触れ、血まみれになっているあたしを見て警察署の人はみんな目を丸くしていた。


そしてあたしは実紗が殺された公園へ警察官を連れて行き、目の前で起きた出来事をすべて話したのだ。


あたしと実紗が買った【彼氏人形】のこと。


【ドールハウス】のこと。


【彼氏人形】が不良品であること。


すべてを包み隠さずに説明した。


でも……。


それを信じてくれる人は、誰１人としていなかった。


都市伝説として【彼氏人形】を知っている人はいたけれど、それが現実に存在している話だとは思ってくれなかった。


それでも、あたしは引き下がらなかった。


信じないのなら、自分の彼氏人形を見せればいい。


そう考え、自宅に警察官を１人連れてきたのだ。


蒼太を見れば絶対に理解してもらえる。


そう、信じていた……。