私以外誰もいない放課後の中庭。


彼奴は来ない。


来てほしい訳じゃない。


むしろ来るな。来なくていい。



私は時計を見ながら、じっと待つ。


「………」

あと五分。


あと五分したら帰ろう。


私は握っていた紙切れを開いて、中を確認した。



『放課後の中庭で久瀬悠希に告白ターイム!!』


ふざけた文字を握りつぶし、私は息をはく。



馬鹿なこと考えたよなぁ。